大阪旅行記(仮) 2014.3.25(Tue)-6(Wed) 大阪に行ってきた。もともとは旅行の目的じゃなく企業の選考を受けに行ったんだけど、やはりというかで旅行の性格が強くなった。覚え書き程度のものを残していく。 --- 行きは夜行バス、24:25池袋駅西口発。月曜日にもかかわらず、トランスに酔っ払った若者のグループがそこここにあって、閉まっているビルの入口あたりに座って談笑していたり、通りを歩きながら大声で歌を歌ったりしていた。危険を感じた。 高速バスは得意な気がしていたけど、隣にも人は座るので(そして体が大きめの人だったので)終始体をちぢこめ気味でなければならないのが少しずつストレスだった。あと基本的に眠って過ごすわけだけど、長いこと目を閉じて過ごしていたら、早朝の休憩時間に少し体を伸ばすかと外に出たときに少しの間はうまく目が開かなかった。なんだ。あと降りた後が体がかゆかった。かゆいのは日常だけど、いつもよりね。首とか。あまり意識しなかったけどストレスかねぇ。あと顔も脂っぽかった。 とにかく9時過ぎに大阪駅周辺・梅田に到着。選考会場までは歩いて行くことにしてたので、『文庫地図・大阪』を手にとりあえず歩き出す。大阪って猥雑なイメージだったけど、このへんは普通の都会って感じだ。12月に行った札幌を思い出した。御堂筋を歩いていくと、ビルまたビルという感じで、目につくのは各種銀行の看板くらい。 そんなふうで見るものがあまり見つからなかったので、地下街に潜って何か食べるものはないかしらと探したり、本屋で新刊を見たりとおよそ観光っぽくないことで時間をつぶしていた。ちなみに朝食はサイゼリヤのリゾット、昼食はすき家の牛丼。大阪にしかなさそうなもので食べたいものが見つからなかったのでこうなるんだけど、たこ焼きでも買って食べたら旅行気分になれたかしら。そうやってひとは旅行気分を盛り上げていくんだろうか。 今回の表向きの目的である選考を済ませて、予約していた宿までさらに歩き出した。宿はバス降り場から数えて3つ先の区だったけど、歩いて行けそうな距離だったのと、道がほとんど直線だった(大阪は歩きやすい;これも札幌とか旭川を思い出す)ので迷う心配も少なそうだったこと、あと町並みを踏みしめながら行きたかったので。「FREE HUGS」の看板を掲げた人がいた(女性)。不機嫌そうな顔をしていた。斜め前方に観覧車のようなものを認め、実はドン・キホーテの店舗の飾り(でかい)だったんだけど、そちらの方へ近づいていくと道頓堀川に当たり、御堂筋と平行して商店街が通っていることがわかる。人であふれていて大阪弁もよく聞こえた。この近辺がいちばん大阪らしく感じた。そうして難波に至る。このへんまではビルが林立しつづけ、建物の高さがおとろえない。都市としての規模がうかがえる。町並みが整理されてるからこの印象なのかな。わからないけど。
宿の近くまで来るとさすがに建物も落ち着いてきた。スーパーなんかがようやく見えはじめる。6時前で日も暮れてきたが、チェックアウトを8時にしていたのでまだ早すぎるのである。都会度の低下にともない飲食店が見えなくなってきたのに焦りつつ、とりあえず宿の場所だけ確認しにいく。公園と地図にあるのに全面金網が張り巡らされて立ち入れそうにない公園を横に過ぎ、道路を横切って高架下を抜けたとたん雰囲気が変わった。どちらを向いても肉体労働者に出会う。人に対して釣り合わないくらい多数の自転車が随所にとめてある。匂いもなんだか違う。もしやと思って、あとでチェックインしてから携帯で調べたら、この西成区萩ノ茶屋という場所はいわゆるあいりん地区に該当する地域で、とても治安の悪いところなのだった。治安が悪いといっても、実際に何かが起こった場面を見聞きしたわけじゃないので、ほんとうは何が「治安が悪い」のかわからない、多分に噂を呑んでの判定なんだけど、雰囲気の違いを肌で感じたのは事実。とにかくネットカフェよりも安い宿泊施設がどのようにして可能なのかに関しては、ひとつの納得が与えられた。 夕飯は「安い」と謳う小さな中華料理屋で、味噌ラーメン。確かにジャンルが高級化して趣味の領域となっているこんにちのラーメン事情からして、380円は安い(醤油ラーメンは280円)。味はとてもふつう。ミソラーメンの味がする。でもサッポロ一番のほうが……、つまり、化学調味料はそれほど強力ということなんだろうな。 それから格安スーパーでバッテラと日本酒を買い、宿にチェックイン。部屋はせまい。せまいのは構わないけど壁が薄くて、ドアの外で誰かがお湯わかしたりしてる音がいちいち聞こえて落ち着かない。テレビはつくけどイヤホンが刺さっててスピーカーから音を出しちゃいけないらしい。殺風景という言葉がよく似合う。でもふとんで寝られるし風呂も入れるから十分だよね、と思いつつも、やっぱり不安は寝るまでつきまとった。 とりあえず風呂をすませ、なるべく音を立てないように注意しながら晩酌をやることにした。バッテラは6切れ198円、味がしない。いや寿司の味がそこには存在するんだけど、なんというか褪せている。日本酒は200ml98円で、こちらは普通に日本酒の味。酒の良し悪しがわからないということなのか。どうなのか。地図と携帯を見ながら明日の予定を考えたりして、それが済むとやることもなくなってしまったので10時過ぎに寝てしまった。それから2時間おき3回くらい目を覚ましているが、出先だといつもそんな具合なので場所柄というほどではない。 7時にふとんを出る。一晩寝てしまうと、殺風景で不安な部屋がいくぶん親しいものに感じられてきた。寝てるときから気づいていたが、チェックアウトして外に出ると、あいにくの雨。区内に乗り場が数箇所あるという渡し船に乗ってみたかったんだけど、足が遠のいてしまう。なか卯で朝食(食券制なのまた忘れてた)をとり、まっすぐ駅へ。スニーカーはすでに浸水してしまった。そういえば通勤通学時だったので構内は人が行き交う。新今宮駅から大阪環状線で京橋駅へ、京橋から京阪本線で枚方公園駅へ。雨はやまず降り続く。枚方公園駅西口前のローソンは、いたるところに(10個や20個ではない)店員手作りの販促パネルがつけてあり、インディーズすぎる((c)ヨシダプロ)感じになっていた。いい。なんでもワードとエクセルで作る習慣をわれわれは卒業すべきだ。あと絵がとてもうまかった。 なぜ枚方公園駅かというと、飲料メーカーチェリオの本社の最寄り駅がここなんですわ(住所は高槻市だけどそちらの駅からは遠いはず)。僕にとって大阪といえばチェリオだったので、今はもうソフトドリンクもあまり飲まなくなったけど聖地巡礼の気分で来たわけ。渡し船はあきらめてもチェリオは見とかなければって。でも降り続く雨に勢いは削がれ、枚方市と高槻市をつなぐ枚方大橋を渡るときには、橋の上なので風は強く、雨は吹き付け、視界は悪く、車やトラックが過ぎていく騒音しか聞こえない中傘をさして進んでいると、「何しに来たんだろう俺」という念が浮かんだ。前後を見て誰もいなかったので、「White Breath」をサビだけ叫んだ。尋常じゃない音量のクラクションが鳴って目をむいた。 チェリオは橋を渡ればすぐ、10分くらいのところ。べつに中に入れたりするわけではないので、写真を何枚か撮って退散した。高槻市に遍在するチェリオ自販機の写真もいくつか撮り、スイートキッスと新商品ブレインパワーを買ってミッション達成ということに。雨の中歩くのしんどいと思ったので、ちょうどきていた京阪高槻行きのバスに飛び乗った。
11時。まだ昼には早かったので、近くの図書館に避難して時間をつぶす。建物が市役所とくっついてて、12時になって降りてきたらちょうどこれから演奏会をやるというので、ピアノとバイオリンデュオの演奏を聴いて見てきた。客の中で俺が一番たぶん若かったぞ。会場のせいかな。バイオリンの弓を激しくひくたびに女の人の二の腕がふるえて、でもエロティックというよりかっこよさを感じた。クラシック音楽いろいろ聴いてみたくなった。 高槻駅へ向かい、喫茶店でビーフカレーを食べて、テレビで「ごきげんよう」がふだんと違うコーナーをやってて、最後まで見ずに出て電車で新大阪へ。新大阪というとこは駅を出ても灰色のビルしか見えないし、別の出口からは無数のタクシーがとまってるとこしか見えなくて、何もなさそう。実際はいろいろあったのかもしれないけど雨で散策する気もなかったので、駅内を無駄に歩き回ったりして時間をつぶした。それも飽きたのでドトールコーヒーに入って、駅の通路をゆく人々を眺めながら実にもならないことを考えたり。 新幹線の時間が来たので、おみやげを買ってから乗り込んだ。旅行して家族におみやげを買うのもひさしぶり。今までは、おみやげもらっても自分はさほどうれしくはないと思って、それを反転して自分でも買っていかなかったんだけど。購入する価値がある品物かどうかとかそういう話ではなく、おみやげを購入してふるまうという行為を通じて私たちは何かをなしているらしい。 新幹線の窓から眺めると、町並みが立体的に動いて模型のようだった。 |